電話応対の課題をAIで解決!:私たちの取り組みと学び【後編】
こんにちは。株式会社サービシンクのAI推進活動「電話チーム」です。
前編では、電話応対が業務の集中を妨げていたこと、そしてその解決策としてAI電話自動応答システムの導入を検討し始めた背景をお伝えしました。
後編では、検討を進める中で見えてきた「組織にとっての本当の価値」とは何か、導入を見送った判断の背景、そしてそこから得た学びをお伝えします。
稟議書づくりで気づいた”想定外の論点”
AI電話自動応答の導入に向け、後半はより具体的な検討フェーズに入りました。
社内での意思決定に必要な稟議書を作成するため、下記の情報をまとめていきました。
- 複数サービスの比較
- 費用や導入フローの整理
- 導入後の運用イメージの洗い出し
ところが、資料を作り込むほどに、私たちのなかである違和感が強まっていきました。「時間削減効果は確かにある。でも、それだけで決めてしまってよいのだろうか?」という問いです。
検討の途中で浮かび上がった“本質的な問い”
稟議書をまとめる過程で、私たちは次の2点を改めて考える必要があると感じました。
効率化だけで判断してよいのか?
AIによって一次対応を自動化すれば、電話応対に割かれる時間は減らせます。
営業電話の負担が大きい環境では、とても魅力的な効果です。
ただ、それでも「削減できるから導入する」という判断は、少し短絡的ではないかと考えるようになりました。
業務は効率が上がれば良い、というものばかりではないからです。
長期的に組織に必要な力は何か?
電話応対をAIに任せるということは、言い換えると「人が経験する機会を減らす」ことでもあります。
便利さの裏側で、「組織として将来必要になる力まで削ってしまわないか?」という視点が欠かせないと気づきました。
導入を進めるうえで見えてきたリスク
こうした問いを深掘りしていくと、導入によって生じうるリスクも具体的に見えてきました。
1. 若手育成の機会が減る可能性
電話応対は、社会人としての基本的な対外コミュニケーションの一つです。
たとえば、下記のスキルは、実際のやり取りを重ねることで身についていきます。
- 限られた時間で相手の要件を正確に聞き取る
- 必要な情報を整理し、適切に伝える
- 言い回しひとつで相手の印象を調整する
AIが一次対応を担うことで、こうした経験の場が若手社員から減ってしまうのは、長期的に見て組織の損失につながるかもしれないと考えました。
2. AI運用のための管理負荷
AIは導入して終わりではありません。
誤認識の確認、応答シナリオの改善、ログのチェックなど、導入後の運用・改善コストが継続的に発生します。
結果として、想定していたほど時間削減につながらない可能性があることも分かりました。
3. 重要な電話を逃すリスク
AIが内容を正しく判別できなかった場合、緊急性の高い重要な電話を取り逃す危険があります。
電話は「本当に大切な連絡ほど、突然かかってくる」こともあるため、ここは非常に慎重に判断すべきポイントでした。
4. 効率化効果の過大評価
営業電話の削減には一定の効果があると考えられましたが、必要な電話までゼロになるわけではありません。
また、AI管理業務が増えることを加味すると、「思ったほど効率化のインパクトが大きくない」という現実的な見立ても出てきました。
電話応対は、組織の“基礎力”を育てる場
検討のなかで、私たちが改めて強く感じたのが、電話応対そのものの価値でした。
電話応対は単なる事務作業ではなく、下記の側面があります。
- 対外コミュニケーションの土台をつくる
- 意図把握・説明・調整などの実戦力を磨く
- 若手が成長するための貴重な訓練機会になる
便利さの追求と引き換えに、「こうした土台を弱めてしまうのは本末転倒かもしれない。」
そう考えるようになったことが、最終判断に大きく影響しました。
短期メリットと長期メリットを比べ、導入は見送りに
もちろん、短期的な効率化のメリットは魅力的でした。
- 一次対応の自動化による稼働削減
- 対応スピード向上
- 営業電話負担の軽減
しかし、それ以上に私たちが重視すべきだと感じたのは、
- 組織としての対外対応力を維持すること
- 現場で培われる判断力や経験知を蓄積すること
- 若手が成長する機会を確保すること
といった長期的な価値でした。
これらを総合的に見た結果、 今回はAI導入を無理に進めずに見送る判断をしました。
今回の取り組みで得た学び
最後に、今回の活動で得た学びを2点まとめます。
学び1:AI活用は“自動化ありき”で考えない
AIは強力な手段ですが、「できるから置き換える」ではなく、
組織にとって本当に価値があるかどうかを見極める必要があります。
効率化だけでなく、育成・知見・文化といった観点も含めて判断することが重要だと学びました。
学び2:導入の前に“影響の全体像”を検討し尽くす
稟議書作成の段階で、初めて見えてきた論点が多くありました。
導入を前提に進めるのではなく、メリット・デメリット・副作用まで含めて俯瞰し、目的と影響を徹底的に整理した上で進めることが不可欠だと強く感じました。
おわりに
AI電話自動応答の検討は、結果として導入見送りという結論になりました。
しかし、私たちにとってこの取り組みは、「AIを使うこと」そのものよりも、“何を大切にして組織を成長させるか”を考える機会になりました。
今後も電話チームは、短期的な効率化だけにとらわれず、組織の未来にとって最適なAI活用を探り続けていきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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