生成AIを活用したコードレビュー効率化への取り組み

はじめに

こんにちは、サービシンク生成AI推進活動のコードレビューチームです。
チームでは、開発プロジェクトの中での「コードレビュー効率化」を目指して、生成AIの活用に取り組んでいます。今回はその一環として、AIコードレビューサービスCodeRabbitを試験導入している状況を紹介します。

背景と課題

現場のコードレビューでは、次のような課題がありました。

• 複数のタスクが並行するとPRが集中し、レビュアーのリソースが逼迫する
• コーディングルールの確認など、定型的なチェックに時間を取られる
• レビュアーごとの指摘精度に差があり、品質にばらつきが出やすい

こうした課題を解決するため、コードレビューの初期工程でAIに定型的なチェックを任せ、レビュアーは設計やロジックといった本質的な部分に集中することを狙いとしました。

ツール選定とCodeRabbit導入

調査段階では、AIツールの中でも特にコードレビューに焦点を当てたサービスを候補にあげ、複数のツールを比較検討しました。
 その結果、以下の理由からCodeRabbitを採用しました。

• 文法やスタイルといった基礎的なレビュー領域に強みがあり、今回の目的に合致している
• GitHubのPull Requestと自動連携でき、開発フローにスムーズにに組み込める
• 導入の手間やコストが比較的少なく、1ユーザー単位からスモールスタート可能
  

現在、社内の1プロジェクトにて、Liteプランの1ヶ月間の試験導入を実施しています。

試験導入の中間結果

試験導入中のプロジェクトでは下記のフローで開発に組み込み運用しています。

1. Pull Request作成
開発者がPRを作成し、自動レビュープロセスを開始する

2. CodeRabbitによる一次レビュー
GitHub Actions経由でCodeRabbitによるレビューが自動実行され、即座に結果を提供する

3. 修正・コミット
指摘内容に基づき開発者が修正要否の判断・対応を行う。必要に応じてこれを繰り返す

4. レビュアーによる二次レビュー
設計・仕様中心のレビューをレビュアーが実施し、プロセスを完了する

まずはCodeRabbitのデフォルトベースの設定で試験運用を開始し、以下のような特徴が見られました。

AIからの指摘内容

• タイポや構文ミスといった基本的エラー
• 一般的なバグパターン（例：条件分岐の漏れなど）
• セキュリティリスクの警告（例：入力値未検証など）
• 実装上の不整合やリスク（例：トランザクション未使用など）
  
  

1つのPRにつき、初回は10数件以上の指摘があり、内容としては修正が容易な軽微なものが中心でした。

指摘されない内容

一方で、以下のような観点はAIでは拾えないケースがありました。

• パフォーマンス課題（処理効率やクエリ最適化など）
• 命名規則の揺れ
• 未使用メソッドやプロパティの重複定義

文脈や設計意図を理解しないと判断できない部分はやはり人間が担う必要があるとわかりました。

その他の機能・気づき

• PRごとに修正内容をファイル単位で要約してくれる
• 学習機能があり、繰り返し使っていくことでプロダクト固有の仕様を反映できる可能性がある
  
  

試験運用中のチームからの声

試験導入開始から約1週間後、所感アンケートを行いました。

良い点

• 誤字などの見落としをAIが拾ってくれるので助かる
• 可読性や構文への指摘がありがたい
• 指摘を通じてコードを振り返るきっかけや学びになる
• AIを鵜呑みにせず取捨選択する練習になる
• 一次レビューをAIが済ませてくれるため、二次レビューの負担が軽減
• 人に指摘されるより心理的負担が少ない
  
  

課題

• 仕様理解はできないため、指摘をそのまま適用すると不具合に繋がる可能性がある
• 指摘の精度をさらに高めるため、レビュー観点の設定調整が必要

現時点では好意的な評価が多く、チーム全員から「今後も導入したい」との声が挙がっています。

今後の予定

1. 効果測定・分析
   • CodeRabbitの設定調整を実施しながら試験運用の継続
   • 指摘精度やレビュー工数の削減効果を検証
     
     
2. 本格導入検討
   • 効果が確認できれば正式に導入を判断
     
     
3. 社内への展開
   • 他プロジェクトへの展開方法を検討・実施
     
     

おわりに

CodeRabbitによるコードレビューは、概ね期待どおりの指摘をしてくれており、現時点では導入効果に手応えを感じています。「AIの指摘を鵜呑みにせず自ら判断することが学びにつながっている」という声があったのも印象的でした。特にジュニアメンバーにとっては、レビューを通じた成長のきっかけにもなり得ると感じています。

引き続き効果を検証しながら、コードレビュー効率化の形を模索していきたいと思います