Immersed Visorをどう見る?
Immersed Visorとは?
Immersed社は、リモートワークやオフィスワーク向けに、VR/AR/MRを利用したデジタルワークスペースソリューションを提供している企業です。これまでにMeta QuestやApple Vision ProなどのVRデバイス向けに、仮想空間内での作業環境を構築するアプリケーション「Immersed」を展開しており、ユーザーはPCの画面をVR空間に表示し、他の社員と仮想空間を共有して共同作業を行うことが可能です。特に、複数の仮想モニターを活用することで、物理ディスプレイの制約を超えた柔軟なワークスペースの提供に注力しています。
そのImmersed社が開発している最新のMRデバイスが『Visor』です。Meta Questや、今年2月に発売されたApple Vision Proと比較して、大幅に小型・軽量化が進んだ機種として注目を集めています。
そんな『Visor』の製品発表プレゼンテーションが日本時間9月19日23時頃にアメリカ・オースティンで行われました。今回は『Visor』の特徴や、MRの未来との関わり方について見ていきたいと思います。
『Visor』の特徴
『Visor』はスタンドアローンで動作し、PCやスマートフォンとの接続が不要です。内蔵のアプリやブラウザを使用して作業ができ、例えば調べ物やメールの送信などは、Visorを装着するだけで完結します。さらに、ハンドトラッキングやアイトラッキング機能も搭載されており、手に何も持たずに操作が可能です。
ただし長い文章を打つ必要があるときはBluetoothキーボードを用意した方がいいかもしれません。これまでの経験から、打鍵感のない仮想キーボードは物理キーボードに比べてどうしても操作性が劣るためです。
『Visor』の最大の魅力は、その軽さです。9月19日のプレゼンテーションでは、実際に計量が行われ、デバイスの「つる」を外した状態で186gと計測されました。以下は、今回計量された他のデバイスとの比較です。
デバイス名 | 重量 |
---|---|
Apple Vision Pro | 572.49g |
Meta Quest 3 | 463.82g |
iPhone 15 Pro Max | 290.50g |
Immersed Visor | 186.33g |
ただし注意点として、Quest 3とiPhone 15 Pro Maxはデバイス本体にバッテリーを内蔵しているのに対し、『Visor』とVision Proは外部バッテリーモジュールを接続する設計です。今回の計測にはバッテリーが含まれていません。しかし、Visorが想定する室内利用の環境では、バッテリーはデスクに置いておけばいいので、バッテリー側の重さはあまり問題にはならないのでしょう。
また、『Visor』のディスプレイ解像度は片目で4Kと発表されており、Apple Vision Proと同等の水準です。先日の製品発表でデモを行うという予告があり、実際の見え方や明るさがどのようなものか明らかになると期待していました。しかしファームウェアの不具合などトラブルがあり、自由にデモを体験できた人はほとんどいなかったようです。そのため、実際のパフォーマンスはまだわかっていないのが現状です。
他には、起動の速さに注力している点も興味深いです。MRデバイスはバッテリー容量が限られているため、頻繁に電源をオフにすることが多くなります。起動が素早ければ必要な時にすぐ作業を再開できるため、この機能は非常に重要です。
オフィスワークに最適化された設計
『Visor』は、オフィスワークに特化した設計がなされており、最大5つの仮想モニターを同時に操作できる点が大きな特徴です。これにより、物理的なモニターを増設せずに多くの情報を効率的に管理・操作することが可能です。特にリモートワークやオフィスワークで複数のディスプレイが必要な業務に適しています。
この特徴はVisorはApple Vision Proのような「空間コンピューティング」とは異なり、現実空間にデジタルオブジェクトを配置するのではなく、仮想空間内での作業に特化しています。Immersed社が開発してきたデジタルワークスペースの特徴を引き継いでおり、仮想オフィスの環境で、効率的かつスムーズな作業を可能にするための設計だと考えられます。
スマートフォンの次世代デバイスとしてMRに注目している私にとって、この違いは興味深いです。日常生活においては、Apple Vision Proのように現実空間に仮想情報を重ねるアプローチは非常に魅力的です。自宅の部屋を自由に移動しながら、窓際に天気予報を表示したり、キッチンにタイマーを配置するような使い方が可能です。
一方オフィスワークでは、現実世界では椅子に座ったまま、仮想空間内のバーチャルオフィスで作業をすることが多いです。この環境では常に手元に情報がある状態が便利です。仮想空間では情報を物理的な空間にリンクさせる必要が薄れるので、ユーザーの手元や視界内に常にアクセス可能な状態にしておく方が効率的です。
このアプローチの違いから、MRとVRの進化の方向性が異なることが感じ取れます。個人的には、好きな場所にアプリを配置できるMRをベースにしながら、VRモードに移行した際にスクリーンが手元に再配置されるようなデバイスが理想的だと考えています。
『Visor』が示すのは未来のオフィスワーク
『Visor』は、オフィスワークにおける効率化をサポートするデバイスとして注目されています。その軽量設計により、長時間の使用でも比較的快適に作業ができる点や、最大5つの仮想モニターを利用できる点は、物理的なモニターに依存せず柔軟な作業環境を提供します。リモートワークやオフィス内で仮想空間を活用して複数のタスクを同時に進められるため、特に複数画面が必要な業務に適しています。
ただし、『Visor』はパススルーによるMR表示機能を持ちながらも、Apple Vision Proの「空間コンピューティング」的な使い方とは異なり、仮想空間での作業に特化しています。現実空間とデジタル情報を融合させるというよりは、効率的なデジタルワークスペースを仮想空間内に提供することに注力している印象です。
軽量化されたMRデバイスの登場は歓迎すべき進展であり、MRデバイスの普及を阻んでいる要因である「価格」や「重量・大きさ」などが少しずつ改善されることが期待されます。Visorのようなデバイスの登場により、ハードウェアの進化がさらに進み、より使いやすくなる未来に期待しています。
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