WebとMRの未来を考える
2018年、弊社の代表がスマートフォンの終焉と次世代のデバイスというテーマでブログ記事を書きました。その中で、次世代の技術としてAR/VR/MRの可能性について言及しました。
あれから5年が経過し、デジタルデバイスの画面はますます大型化しています。スマートフォンはこれまで、より薄くなるよう進化してきましたが、画面の大きさを確保するためにその薄さを犠牲にした折りたたみタイプにも一定の支持が集まっています。
今後、さらに大きな画面で多くの情報を扱うことを考えると、スマートフォンからMRデバイスへのシフトが近い将来に起こる可能性があります。そうなれば、私たちが作っているWebサイトもAR/MRに最適な形に変わる必要が出てくるでしょう。
今年サービシンクに新しく設立されたR&D事業部では、このテーマをさらに掘り下げ、WebとMRの未来を考えています。この記事では、私たちが考えているWebとMRの未来についてお話しします。
MRの利点と可能性
あらためて、MR(Mixed Reality)とは現実世界とデジタル世界を融合させる技術です。最近では「空間コンピューティング」という言葉もよく耳にしますが、これはデジタル情報を3D空間内に配置し、その空間内で直感的に操作する技術を指します。従来の2Dスクリーンでは情報が平面的に表示されていましたが、MRでは現実の物理空間とデジタル情報を融合させ、目の前のどこにでも自由に情報を配置することが可能です。
例えば、複数のアプリケーションやデータを視界全体に広げて表示し、作業をより効率的に進めることができます。視線を使った操作や手のジェスチャーを活用することで、情報へのアクセスや操作が直感的で自然なものとなります。さらに、視覚的な情報が物理空間にオーバーレイされるため、情報をコンテキストに合わせて表示でき、より深い理解や迅速な意思決定が可能となります。
これらのデバイスは高解像度ディスプレイや視線追跡機能を搭載しており、非常にリアルで没入感のあるMR体験を提供します。将来的には、これらのデバイスがスマートフォンに代わる主要なインターフェースとなり、情報の取得やWebの閲覧方法が根本的に変わる可能性があります。
AppleのVision Proに代表されるように、空間コンピューティングをベースにした様々なデバイスやプラットフォームが登場しています。このように、MRデバイスの普及が進むにつれ、私たちが作るWebサイトも、より直感的で視覚的にリッチな体験を提供することが求められるようになるでしょう。
AIと音声ナビゲーションの現状と展望
これからのことを考えるにあたって、AIの存在を無視することはできません。特に、生成AIの急速な発展は、私たちが情報を取得し、利用する方法を根本的に変えつつあります。現在、検索エンジンに代わって生成AIが検索から回答まで全てを行う世界が現実になりつつあり、GoogleやOpenAIなどの企業はこのAI検索をさらに強化しています。
このような変化が進むと、ユーザーが調べ物をするためにWebサイトにアクセスする必要が大幅に減少するでしょう。生成AIによる回答はますます正確で包括的になり、ユーザーは簡単に必要な情報を手に入れることができるようになります。特に音声ナビゲーションの分野では、AIが対話型でリアルタイムに情報を提供する能力が向上しており、音声による検索や案内が当たり前になる可能性があります。
このようなAIの進化により、Webサイトの役割も変化せざるを得ません。生成AIによる音声回答がさらに使いやすくなれば、わざわざWebページを開く人はもっと減ると予想されます。つまり、Webサイトに直接訪れるのは、より深い情報を求めるユーザーに限られるでしょう。こうしたユーザーに対しては、AIによる要約を超えた豊かな体験を提供することが求められます。
その結果、単なる情報提供型のWebサイトは、ユーザーにとっての価値を失うリスクがあります。今後は、音声ナビゲーションと視覚的なコンテンツの組み合わせや、よりインタラクティブで没入感のある体験を提供することが、Webサイトの生き残りに必要な要素となるでしょう。
MRとWebの融合
ではWebサイトはどうなっていくのでしょうか。先ほど述べたように、今後Webサイトにアクセスしてくるのは、深い情報を求めている人たちになります。そんなユーザーに対して、生成AIの回答を超える体験を与える必要があります。
現在、MRデバイスでWebサイトを利用する利点は主に画面の大きさにあります。しかしそれだけではMRの良さを十分に活かせているとは言えません。MRデバイスの利点を最大限に活用するためには、コンテンツを自由に配置したり、3Dの視覚効果を活かしたりする方法を考える必要があります。
例えば、座って集中できる場面では視界の中央にコンテンツを固定し、移動中に利用する場面では視界の中央を開け、周囲にコンテンツを配置することで、より快適な体験を提供できるでしょう。また、AIを使ってコンテンツから3Dオブジェクトを生成し、Webサイトの世界観への没入度合いを高める体験を作ることも考えられます。
まとめ
この記事では、WebとMRの未来について考察しました。デジタル技術の進化は私たちの生活や仕事のスタイルを変革し続けており、その中でMRとAIは非常に重要な役割を果たしています。MRの普及に伴い、私たちが作るWebサイトも、単なる情報提供から、ユーザーに新たな価値を提供するためのインタラクティブで没入感のある体験へと進化する必要があります。
今後もMRとWebの融合に向けた研究と開発をさらに進めていきます。そして、その成果を継続的に発信することで、皆様に最新の情報とインサイトをお届けしていきたいと考えています。未来のWeb体験を一緒に創造していくために、今後の動向にご期待ください。
これからも、弊社が目指すWebとMRの未来に向けた取り組みにご注目いただければ幸いです。
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