「ARデバイスの進化と
デジタル情報の表現方法の
進化の可能性」(2023年修士論文抜粋記事)

「ARデバイスの進化と
デジタル情報の表現方法の
進化の可能性」(2023年修士論文抜粋記事)

こんにちは、サービシンクの名村です。
サービシンクでは、今後のWebの表現場所=ディスプレイは「AR/MR空間」になると仮定をして、その実現性の研究開発(R&D)をおこなっています。

R&Dとして現在オープンのできることといえば下記があります

一方でこのR&Dを会社で実施する上で、私は大学院でMBAを取る過程の修士論文でこのAR//MRの進化の可能性を取り上げました。実際の修士論文は公開ができないのですが、そのサマリーを発表する際に作った資料を展開しておきたいと思います。

修士論文を発表した2024年1月時点では、まだApple Vision Proは発表こそされたものの、まだ未発売、メガネ型デバイスのほぼ全ては言ってしまえば単なる「外部ディスプレイ」という状態でした。おおよそ「AR/MR」を真の意味で使っているデバイスは世にほとんど存在していませんでした。
しかしAppleの「Vision Pro」は明らかにAR/MRのハードウェアの世界に一石を投じ、世の中で虎視眈々と夜に出すのを狙っていたベンダーを大きく刺激したと思います。
結果として、2024年〜2025年の間に「AR/MR」の文脈でさまざまなハードウェアが一気に登場してきました。

そこに至る前夜ともいうべき2024年1月までに、なぜ今後「AR/MR」が広がると考えたのかという前提からその見通しまでのサマリーとなります。あくまで修士論文の概要を発表する資料となっており、下記の示す文面における説明の精度、粒度は論文におけるそれとは異なることはご了承をお願いします。


ARデバイスの進化と
デジタル情報の表現方法の
進化の可能性

はじめに

この論述のテーマの発端は「スマートフォンの終焉」への考察が元となっています。この数年、スマートフォンは何か具体的な進化をしてきたでしょうか?この数年、スマートフォンのハードウェア自体の進化は「バッテリー」「カメラ」「画質」に留まっています。

一方でスマートフォンを介して取得する「情報」の量は増え続けてきており、スマートフォンというデバイスの限界は近年訪れると
考えています。ではその時、情報授受は何を介して行われるのでしょうか?

2018年時点の予測

スマートフォンの限界については2018年に自社のブログに「スマートフォンの終焉と次のデジタル体験の未来予測」というエントリーで記述をしており、本論述はその際の仮定と予測を裏付け検証を行うことを目的としています。
逆にいえば、2018年からスマートフォンはすでに限界に達していたと考えていて、「二つ折り」「既存機能のスペックアップ」などは正にフューチャーフォンの終末期と酷似していると考えています。
なお「スマホ 次」の検索ワードで現在1位(2025年6月13日現在)なのが筆者のブログとなります。

なぜARなのか?

スマートフォンにおける情報授受の限界は「情報の表示力」になると考えられます。スマートフォンの画面サイズで得られる情報量はすでに限界であり、かといって画面を大きくしたタブレット・パソコンでは携帯性が失われるというジレンマに陥っています。

処理をしなければならない情報が増え、人々がより簡易に情報取得をする方法を考えるならば「携帯性を維持し、情報の表示領域の拡張」しかありません。

「ディスプレイサイズにおける情報表示の限界」が現状の問題点であると考えるならば、現在残っている情報表示領域は「空間」しかありません。そしてこれがなし得られれば、人々は「視界」を広大なモニターとして扱うことが可能になります。

その技術の中核となるのは「xR」となります。そしてこの技術に求められ「スマートフォンの代替」となり得るのは「携帯性」と同時に「屋外でも利用が可能」という要素になります。もし屋内の特定の場所だけでしか使うことができないならば、それはスマートフォンの代替としての地位を得ることは不可能であり、それをなし得るのが「AR」であると判断をしています。

xR技術の紹介

XR(Extended Reality)とは?

https://www.nttqonoq.com/glossary/xr/ より抜粋

「xR」はAR・VR・MRを包含する呼称なります。

AR(拡張現実)

現実(リアル)の世界にデジタル情報を呼び出し出現させることで、現実の世界を拡張する技術

MR(複合現実)

現実世界を仮想世界に反映させることで、仮想のものに近づいたりデジタルコンテンツを直接操作できる技術

VR(仮想現実)

100%仮想(バーチャル)の世界に入り込み、見たり感じたりとリアルに近い体験ができる技術

ARデバイスの紹介

2023年時点でサービシンクの保有しているARデバイス

現在主流となっていているARデバイスは「メガネ型」です。商品写真ではサングラスのように見えますが、レンズ上部はかなり分厚く、この部分にディスプレイがあります。レンズの裏側にはディプレイの映像を反射させる小型のレンズがもう一枚あります。このレンズは透明なため、現実の世界にディプレイの映像が表示されます。

また現在はこれ単体で「バッテリー」と「通信手段」を内蔵しているデバイスが少なく、多くはモダン(セル)の後ろにスマホやパソコンと接続するためのケーブル接続口が付いており、実際の利用時にはケーブルをつなぐ必要があります。

ARデバイスの利用シーン

ARデバイスは現在下記のような領域で利用がされている、また今後も利用を推進される動きがあります。

教育 歴史的な出来事や科学的な現象を仮想的に再現し、学生が直感的に学ぶことを可能にしています。
インタラクティブな学習方法によって、学習への興味を広げることが可能です。
医療 医師はARデバイスを使用して、患者の体内をより詳細に可視化し、より正確な手術手順を計画をすることができます。
これにより効率化とミス削減に寄与します。
エンタメ 自分の現実環境に溶け込む仮想キャラクターやオブジェクトを体験することができ、これにより、より没入感のある娯楽体験が実現。
『ポケモン GO』などがこれの事例になっています。
各種産業 エンジニアは、実際の部品や機械に重ねて詳細なデジタル情報を表示することができ、作業の効率化と精度の向上します。
テール 購買者は自宅で商品を仮想的に試すことができ、オンラインショッピングの決定過程を助けています。
具体的なサイズを確認する上でもオンラインでの購買活動の不安を削減します。

ARデバイス普及への要因

今後「ARデバイス」そのものが普及をするのか?を考察する
上で、新技術や製品がどの様に社会に普及していくか?をモデル化しているエヴェレット・ロジャーズの「イノベーション普及理論(イノベーター理論)」を元に分析を行う。

イノベーションの普及 エベレット・ロジャーズ (著), 三藤利雄 (翻訳)

理論の主要項目として下記の5つがある。

  1. 相対的優位性
  2. 互換性
  3. 複雑さ
  4. 試用可能性
  5. 観察可能性

ARデバイスがこれらの観点において優位性を持っているのかを検討する。

普及論5要素の分析

イノベーション普及理論を実際のARデバイス市場に適用することで、この新技術がどのように普及していくかを理解するための具体的な事例を検討します。
これらの事例から、ロジャーズのイノベーション普及理論の観点において、ARデバイスのどういった部分が市場普及に貢献するか、または障害になるかを理解することができます。

事例1: 教育分野でのARデバイスの導入

教育分野におけるARデバイスの普及は、「相対的優位性」と「試用可能性」の観点から顕著です。ARを用いた教育ツールは、従来の教材に比べてインタラクティブで魅力的な学習体験を提供します。これにより、学習者の関心を引き、教育成果を高めるという明確な優位性があります。また、学校におけるデモンストレーションや体験授業を通じて、教師や学生が容易にARデバイスを試す機会が提供されました。

事例2: エンターテインメントとゲーム

エンターテイメント業界、特にゲーム分野におけるARデバイスの普及は、「観察可能性」の要素が重要です。例えば、「Pokémon GO」のようなARゲームは公共の場で広くプレイされ、他の人々がゲームを楽しんでいる様子が容易に観察できます。このような公開性は、ARデバイスとそのアプリケーションへの関心と好奇心を刺激し、普及を促進しました。

事例3: プロフェッショナルな用途

プロフェッショナルな分野、特に建築や工業設計におけるARデバイスの導入は、「互換性」と「複雑さ」の観点が重要です。AR技術は設計プロセスを支援し、現実世界のコンテキストに即して設計案を可視化することが可能です。これは、プロフェッショナルユーザーの既存の作業フローと互換性が高く、複雑な設計タスクを単純化します。しかし、一方で、高度な技術的知識が必要とされる場合もあり、この点が普及の障害になることもあります。

プラットフォーム獲得戦略

ARデバイスがプラットフォームとして機能するためには、単にハードウェアの提供を超え、包括的なエコシステムを構築する必要があります。これには、開発者コミュニティのサポート、アプリケーションストア、コンテンツライブラリなどが含まれます。このようなエコシステムの構築は、ユーザーに多様な体験を提供し、プラットフォームの採用と継続的な活用を促進します。

大手テクノロジー企業、例えばApple、Google、Microsoft、Meta(旧Facebook)などは、それぞれAR技術の開発に大きく投資しています。これらの企業は、独自のARプラットフォームを構築し、ユーザーに新しいインタラクティブ体験を提供することを目指しています。

ARデバイス普及の阻害要因

ARデバイスの普及における主要な障壁の一つは、技術的な制限や課題です。

バッテリー寿命は、ARデバイスの普及における重要な課題の一つです。長時間の使用を可能にするためには、より効率的なバッテリー技術や省エネルギー設計が求められます。
ネットワーク機能の内蔵が求められますが、最終的には5G、6Gでの通信が可能になることが求められます。
ディスプレイ技術も、ARデバイスの普及において重要な要素です。現在の技術では、特に屋外での使用や高品質なビジュアル体験を提供する際に制限が見られます。

そららの複合として「小型化」が最大の普及阻害要因になってくると考えられます。

ARデバイス市場受入れ予測

新しいテクノロジーがどの様に市場に浸透していくのかを検討
する手法に次のようなモデルがある。

  1. テクノロジー受容モデル(Technology Acceptance Model、以下 TAM)
    • 知覚される利便性」として、ユーザーが新しい技術を採用する際にその
技術がどれだけ彼らの仕事のパフォーマンスを向上させると認識するか、「知覚される使いやすさ」として、新しい技術を学習し、使用することがどれだけ容易であるかというユーザーの認識、の2つの観点での市場
受け入れの予測を行うモデル。
  2. イノベーター理論
    • 新しい技術やアイデアが社会にどのように広がるか、で採用過程を5つの
カテゴリーの分類しそれぞれの特性の分析を行うモデル。
  3. UTAUTモデル
    • パフォーマンス期待、努力期待、社会的影響、促進条件という4つの主要な構成要素で分析を行い、ユーザーの期待や社会的文脈を考慮するのに有用です。

これらのモデルの比較と評価は、各モデルがARデバイスの特定の側面や市場動向にどの程度適用可能かを理解するために重要です。今回は「テクノロジー需要モデル」を主に利用をして市場受け入れ予測を行っています。

iPhoneでのTAM分析

認知された有用性(Perceived Usefulness)

iPhoneは従来のフューチャーフォンに比べて、多くの革新的な機能を備えていました。インターネットアクセス、電子メール、高品質なカメラ、音楽プレーヤー、GPS、そして後にはApp Storeを通じて無数のアプリケーションにアクセスできる能力などがこれにあたります。

これらの機能は、個人的および職業的な生活において非常に有用であり、ユーザーはこれらの機能が日常生活や業務の生産性を向上させると認識しました。

認知された使いやすさ(Perceived Ease of Use)

iPhoneは直感的なタッチスクリーンインターフェースと簡潔な操作システムを採用しており、これにより従来のフューチャーフォンのボタンベースのインターフェースよりも使いやすいと広く認識されました。タッチスクリーンによる直感的な操作性は、技術に精通していないユーザーでも容易にデバイスを操作できることを意味し、この点がiPhoneの普及を加速させました。

iPhoneの登場は、スマートフォンという新しいテクノロジーのカテゴリを確立し、消費者のテクノロジーに対する期待を根本的に変えました。TAMに基づくと、iPhoneの高い認知された有用性と使いやすさが、人々のフューチャーフォンからスマートフォンへの移行を促進させ、新しいテクノロジーの迅速な受容につながったと考えられます。

デファクトスタンダードの獲得

市場標準の獲得は、製品や技術が広く受け入れられ、業界の基準となることを意味します。ARデバイス市場において標準を獲得することは、製品の普及と市場での地位の確立に直結します。標準を持つことは、消費者や他の企業がその技術や製品を選択する傾向を強めるため、市場シェアの拡大につながります。デファクトスタンダードの確立は、ARデバイスメーカーにとって多くのメリットをもたらす一方で、様々な課題に直面することもあります。それらは大きく「技術互換性」「規制」の二点で検討が必要です。

技術互換性

技術的な互換性の保証しなければ、独自規格の乱立に繋がりデファクトスタンダードの獲得は困難になり、それは下記の点での検討が必要になってきます。

  • 多様なハードウェアとの互換性
  • ソフトウェアの統合
  • 標準化プロトコル

規制

初期のルールが未策定の時はいいのですが、広く市場での利用が広まる上では様々な規制がその後に適用されることが想定されます。その「規制」が入ってくることを考慮しますが、それは下記の点となります。

  • プライバシーとセキュリティ
  • 国際的な規制の違い
  • 健康と安全性に関する規制

標準獲得のための選択

ARデバイスの市場標準を獲得するためには、メーカーは様々な戦略的アプローチを検討する必要があります。ここでは、特に有効と考えられるオープンソース戦略、エコシステムの構築、パートナーシップについての概要を説明します。

オープンソース戦略

オープンソース戦略は、ソフトウェアやハードウェアの設計を公開し、コミュニティのメンバーが改良や拡張を行えるようにするアプローチです。この戦略は、イノベーションの加速と製品の迅速な改善を促進します。

エコシステムの構築

エコシステムの構築は、製品やサービスが相互に補完し合う一連の関連製品群を作る戦略です。これにより、ユーザーは製品群全体を通じて一貫した経験を得ることができます。

パートナーシップの確立

パートナーシップは、技術共有、市場へのアクセス、リソースの最適化を通じて、製品の開発と市場展開を強化する戦略です。

2023年時点でのARデバイスの状況

2023年までに発売されている主要な「メガネ型」のウェアラブルARデバイスは「イノベーション普及理論」、「テクノロジー受容モデル」「デファクトスタンダード獲得」のどの観点でみても、主流になり得る状況ではないことが分かる。

製品ごとに明確な差異は実際には存在しておらず、あくまで「プロダクトアウト」の観点での市場投入と言える。

これはARデバイス群があくまでパソコンやスマートフォンの単なる外部拡張モニターでしかないことが原因であると考えられる。
言ってしまえば、「モニター」である。そのため大きな差別化要因を設けることが難しく、スマートグラス型のARデバイスがその機能を超えることができなければ、最終的には重量や解像度という差異はあるが、コストメリットでの競争になってくることが予想される。

2023年時点でのARデバイスの状況

AppleのVision Proの登場

「イノベーションの普及理論」の要素でのVision Proの分析

相対的優位性 スマートグラス型ARデバイスは現時点ではレンズ上に映像を投影するという特性上、外部を閲覧するレンズには色が入る。
Vision Proは4Kを超える解像度の内部モニターに現実世界を投影するので、視認性の悪化が起こらない。
互換性 2023年の時点でVision ProとiOSとの連携が発表済み。
iOS17以降はすでにVision Proの連携のための機能が先行実装。
無線接続を前提としてiOSと連携を行い、iOSで表示されるコンテンツをVision Proで利用ができる。
複雑さ 物理的なコントローラーや、ケーブル接続されたデバイス側での制御ではなくて、利用には、自身の手と声、視線での操作が可能となっている。
試用可能性 2023年の発売発表時にWWSC2023会場で動く実機を展示。
また正式な発売日を告知したCES2024では発売用の実機を会場にて展示。
発売後には直営店の「Apple Store」で展示されることが期待される。
観察可能性 同製品での開発用ソフトであるSDKが公開されており、実際にデモ的に動くものを個人レベルでも公開がされている。

「テクノロジー需要モデル」のでのVision Proの分析

認知された有用性(Perceived Usefulness)

ヘッドマウントディスプレイ型であるが、高解像度のカメラとディスプレイによって利用者はあたかもメガネを通してみているかのように感じられる。これまでの「明らかにモニターに写っている」と感じることや、サングラスを通して見ているような視認性の悪さも一切感じることがない。

またそれを装着したまま特別なコントローラーを使うこと無く利用ができることは、スマートグラス型ARデバイスには全く無い有用性であるといえる。これによってこのデバイスは単なる外部モニターではなく、パソコンやスマートフォンの「”拡張” モニター」となり得ることができる。

認知された使いやすさ(Perceived Ease of Use)

かつてのフューチャーフォンは購入時に分厚いマニュアルが添付されていました。そして主たる機能であってもマニュアルを見なければ使えないこともありましたが、iPhoneはユーザーインターフェースの工夫によって操作を直感的に理解する手法を取りました。Vision ProもAppleによるその姿勢が強く反映され、物理的な外部のコントローラーを使うこと無く操作が可能になっています。これは実際に操作をする上では極めて大きなアドバンテージになってくると想定される。

「デファクトスタンダード獲得戦略」のでのVision Proの分析

オープンソース戦略 Vision Proの発表の時点でそのOSである「visionOS」と、そこで動くアプリケーション開発の為のSDLの提供を行っている。
エコシステムの構築 「Meta Quest」では、頭に装着することからサードパーティ製品として「装着部分の負荷を下げるパット 」「ヘッドマウント時に熱がこもる事を避けるための機器 」「充電を容易にする台 」などが発売されている。
これらと同様の動きが期待される。
パートナーシップの確立 iPhone/iPod当のiOSを開発しているデベロッパーの一定層は、visionOSのSKD開発者となることが期待される。
発表当時からiOSとの連携を謳っていることから、それらの開発者は次の展開をする上でも調査の名目でも触ることを余儀なくされる。

ARデバイスの未来予測

2023年までのARデバイスは、それ自体は目新しいものの単体で「スマートフォンの代替」にはなれていません。「阻害要因」で示したものが改善されない限りそれは不可能だと考えます。

特に製品自体の特徴として単なる「外部モニター」からの脱却が行われな限り、「イノベーター」のみが使うものとして終わると考えられます。

一方で、CES2024ではAppleのVision Pro以外にも「ARデバイス」が「ASUS」「SONY」「XREAL」「Vuzix Corporation」などの会社から一気に発表された。車載用製品としては「HARMAN」「BMWグループ」なども発表をしている。
「情報を表示させる領域」としてディスプレイから「空間への表示の可能性の模索」が始まっていること、またシンクロニシティが起こっていると考えられる。

鍵になる次世代技術

通信における6Gが実現された世界では「超高速・大容量」「超低遅延」「超多数同時接続」「超低消費電力」「通信カバレッジの拡張性」「自律性」「超安全・信頼性」が実現します。これによりデバイス側でデータ処理をする必要性が減り、シンクライアント化させることができる。

さらに現時点でも実用化が見えている「透明ディスプレイ」や「原子力電池」によって小型・ポータビリティの向上は十分に見込まれ、「普通のメガネ」サイズが実現できれば、スマートフォンの代替になることが想定されます。

終わりに「サービシンクのビジョン『Webの技術をリアルに広げる』」

ARデバイスが広がることによって我々は「インターネットにある情報資産」をより有効に活用をすることができます。現在ブラウザで見ているものをそのまま目の前に出すのではなく、文字通り「視界に情報を配置」することが出来るようになります。その時「Web Developer」はこれまでWebを作ってきた技術資産を活用することが出来ると考えます。

AppleのVision Proの販売戦略は2023年の時点ですでに新技術が市場で受け入れられるための施策を講じていると考えられ、最終的には「価格」と「製品のサイズ」の問題になっていると考えられます。この進化を追いかけることで、今後のARデバイスがスマートフォンの代替になりえるのか?を見極めることが可能であると考えます。


以上が修士論文におけるARデバイスの今後の発展の可能性の研究における概要です。

2018年に想起された「スマートフォンの終焉とその次のブレイクスルーとはなにか?」ということを発端として、我々サービシンクはAR/MRにたどり着きました。また今後「デバイス」が先か、「ソフトウェア」が先か?というジレンマについても考慮を行いました。

一般的な「世に出ていないものが今後広まるには?」ということを図る上でのデファクトなモデルとして「イノベーション普及学」「プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用」「競争優位の規格戦略: エレクトロニクス分野における規格の興亡」「デファクト・スタンダードの本質: 技術覇権競争の新展開」を下敷きとして、過去「iPhone」がどのようにして世に受け入れられたのかを分析、そしてそれがVision Proの販売戦略にどの様に適用されているかを比較検討しました。

そこで見えてきたのはAppleはもちろん素晴らしいプロダクトを作っていますが、それを世に出す上でマーケティングのセオリーをきれいになぞらえている世界有数のマーケティング企業である実態でした。

これらの観点からVision Proは単なるごく少数のいわゆる「Apple信者」向けの製品ではなく、広く今後「AR/MRという『空間』領域におけるプラットフォームを取るため」の戦略における重要なキーファクターであると考えています。

「AWE USA2025」ではさまざまなXR観点でのサービス、ハードウェア、ソフトウェアが出展されていましたが、そのどれもが上記で研究していた結果を補完・強化してくれる事象ばかりでした。

  • ハードウェアとして「小型化」「省電力化」が問題になる
  • デジタル表現デバイスとして、より大きなディスプレイが求められ、そのはけ口として空間を利用することの有用性

が示唆されましたが、まさにそれは2023年までの時点で私が考えていたことだと思っています。そして、それは進化が収束したスマートフォンの出口になると我々は考えています。

2025年以降、Webサイトの表現先は空間になっていくと考えています。この観点をより補足するためR&D活動を通して、強固なナレッジを作っていきたいと思います。

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